日廣薬品 インタビューその5:トップと現場が同じ言語でわかりあうことの大切さ

日廣薬品株式会社 代表取締役 金尾 元信様に、
「生産革新プロフェッショナルコース」の受講背景や、受講後の感想についてお伺いしました

※2021年12月開講受講、IE士
※所属・役職は2022年3月14日当時のもの、以下敬称略

トップと現場が同じ言語でわかりあうことの大切さ

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吉田
文系のご出身ということもあり、受講への不安などはありましたか?

金尾
研修の内容については事前に事務局から説明いただいていたので、不安は特にありませんでした。
ただ講義中に専門用語が飛び交い、あまりにもついていけず、皆様にご迷惑をかけしてしまわないかという懸念があったため、恐らく他の方に比べると相当勉強の時間は割いたと思います。
毎朝1時間ぐらいは勉強し、講義中、教科書的に知らない言葉は出てこない状態を作ったうえで臨む努力はしました。

吉田
敬服の念を禁じえません。実際に受講し、印象に残っていることがあれば教えてください。

金尾
研修内容はもちろんのこと、皆様と対話できたことによる学びは非常に大きかったと思います。現場が抱えている不満の多くは、トップの現場への理解が十分でないことだと改めて気づかされました。これがあまりにも多いのだと…。

吉田
経営トップのお立場としては、ある意味耳の痛いお話しですね。

金尾
トップが製造現場出身の方であれば違うのでしょう。
しかし恐らく他部門出身のケースが多く、あまりにも言語が違い、トップのやりたいことと現場がやりたいことの違いや実現性、あるいは現場としては会社全体を思って発言している内容がトップの思いと全くかみ合っていないのだと思います。

吉田
非常に的を射た問題提起をいただきました。

金尾
経営と現場の溝を埋めるコミュニケーションには莫大な社内コストが使われています。
グループディスカションなどの対話を通じて、例えば、現場のトップたちが社長を納得させんがためにコンサルなどの外部業者を入れる、説得するために膨大な社内準備、資料、そして時間が必要となる、せっかくあげた意見がトップの理解不足により却下される……、このような莫大な時間・コストが日本中で浪費されているという危機感を覚えました。

吉田
そのムダは計り知れないと。

金尾
これが、私のような立場の人間が少しだけでも学びをかじらせていただくことで変わることができます。
現場の方も同じ学びの土壌を得ることで、経営側の視点も少し見えると思います。
「自分たちとしてはこう思うが、それは部分最適であり、会社はこのような全体最適で我々に負担を強いているんだな」ということが見えてきます。

吉田
お互いが歩み寄れるのですね。

金尾
こうして互いにわかりあえた時、経営側は「あなたたちの言っていることは分かる。正しい。ただ、全体から見ると、あなたたちには、申し訳ないが、今はこういう負担をかけなければならないんだ」という説明ができます。現場もそれを納得し理解したうえで、覚悟を持って厳しい試練にも立ち向かっていける。
このような”言える関係性”と”互いを理解した上でのコミュニケーション”が一番の低コストだと思います。ただ、これができていないのは非常にもったいないと強く感じます。
この点は私自身が最も反省し、自身の行動を見直していかなければならない課題だと感じています。

吉田
こうした相互理解を深めるためには、同じ言語を持つことに加え何が大切だとお考えですか?

金尾
やはり、トップが経営を振りかざしてはいけないと思います。
それが今回の研修を通して非常によくわかりました。
経営側は経営側で一生懸命考え、正しいと思うからこそ実行を訴えるのです。正直「何故わかってくれないのか」と思うことも多々あります。
しかし現場は経営トップよりも情報量は当然少ないですし、会社全体のことを考えるために費やす時間も限られます。したがって、現場サイドでは”いきなり言われる感覚”があるのだと思います。「社長がいきなりこんなことを言い出した」と。しかし社長としては、会社と従業員の生活を考えて考えて…、長いものだと1年ぐらい考え至った結果だったりしますので、何か悲しい気持ちになりますよね(笑)。

吉田
経営的な視点のお話…、大変勉強になります。現場と経営の溝・ギャップが一言で「難しい」と言ってしまえば、それで終わってしまいますが、金尾さんは相手の立ち場や現実をより理解しようという気持ちで受講され、実際に現場と経営の溝に埋めるための行動をされているんですね。

金尾
トップがやると決めたことはやらなければなりません。社員の負担に過剰に配慮し過ぎて実行のスピードを落としたり、やり方を変えたり、計画を取り止めては本末転倒です。
そうではなく、そのためのコミュニケーションをもっと丁寧にし、現場がわかるように伝えなければならないのです。「現場は何故わかってくれないのか」それは経営トップ自身の責任です。わかるように話すのが我々の責任だと今回の研修を通じて身をもって感じました。

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