ダイトインタビューその4|立ち上げのトラブルか続くのはなぜか?

ダイト株式会社 村中秀彰様(生産本部生産管理部 課長)にお話をお伺いいたしました。日本能率協会の平井希実がインタビューします。(以下敬称略、お役職はインタビュー当時)

立ち上げのトラブルか続くのはなぜか?

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平井
以前にうかがったお話では、手洗い場の数や、石けんの数なども規制で決められており、とても厳しいのですよね。

村中
そうです。
GMPは別の見方をすると、自分たちでつくったルールを破ることは違反なのです。
ですから、物として全く問題がなくても、自分たちが決めたルールに則っていなかったなら、ダメだということですよね。
医薬品以外のもので極端に例えてみると、割れ物を持って社内を移送しなくてはいけない場面があって、「これは割れ物なので、歩く速度は毎分何m以内の速度で歩きなさい」という手順やルールを作ったとします。
歩いて持って行くというルールを明文化しているのに、そのルール外のことをしてしまった、例えば走ってしまったとしますよね。その場合は「逸脱」と言い、結果としてものが割れなかったから良いというのは認められないのです。

平井
結果ではなく、プロセスまでルールが及ぶのですね。

村中
結果として問題が起きていなくても、それを良品とするには手順が必要です。中身のチェックをしたけど割れていませんでしたでは不十分なんです。ルールを外れた範囲の大きさや割れていないというのはどうやって証明したのかなども重要です。
だから極端なことを言うと、協議の中で最初に歩かないといけないと決めたのはどんな根拠で誰が決めたがにまで遡って検証することもあるわけなのですね。
ルールも社内の手順の上に、医薬品の場合は、国の承認(医薬品製造販売承認)を品目毎に取得しなければいけないのですが、この承認書に書いてあるルール、手順と異なると、もうそれは承認書の内容を変更する手続きをしないと、良品とすることは不可能です。
例えば、その承認書の中に、「歩いて運ぶこと」と書かれていて、これを自分たちで「走って運ぶこと」に勝手にルールを変えると、それは承認に対しての違反(齟齬)になるのですね。

極端な例えでしたが、たまに医薬品の回収事例がありますよね。
物としては効き目に問題もないし、毒でもなく、患者さんにとっても不利益になることは何にもないのだけれど、自分たちで国に届けた内容に基づいて、自分たちがつくったルール以外のやり方で製造してしまったものを市場に出したら「回収」になるのです。

例えば、コースの中で触れられていた『立ち上げ事例の7割は同類・同質です』という話が印象に残っているのですけれど、弊社は恥ずかしながら立ち上げのときに同じようなトラブルが続くことがあります。
何を言いたいかというと、医薬品は先ほどのルールの話のように細かな製造管理や品質管理のルールがあり、開発垂直立上げの講義で聞いた内容で、やっておくべきポイントとされたことは、実はやっているのですよ。それなのにトラブルが減らない。正直ショックを受けました。

こうしてセミナー全体を振り返らせていただくと、一番大切だったのは、やはり初日の講義なんだろうと思います。
あるべき姿というのは、経営環境によって変わってきます。
その中で弊社が生き残っていくために、強化していかなければならないのはどこなのか。
コストダウンをしながら供給力をアップし、新しいものを投入していくという2本柱で行くときに、社内の人間はどう動かなければならないのか。
コストダウンし経常利益を10パーセント上げるためには、工場の生産原価をどれだけ下げなければならないのか。
購買はどれだけ削減しなければならないのか。
それらを経営目標から変換して現場に落としていかないといけないのですよね。

経営というか全体から捉えられると、工場が生産原価を下げるといっても、例えばコストを10パーセント下がりましたとしても、その内容は何なのかという話になります。
例えば、あるラインで10人が働いていたのを9人にして、レポートでは10パーセントのコストダウン達成として完結していたのが弊社のこれまでかと思います。
では、その1人はどうしたのでしょうか。

平井
浮いた分をどこか別の場所に配属ですか。

村中
そうです。そこまでできてコスト評価ですよね。
この1人が退職されたとかなら、10パーセントのコストダウンです。
しかし、その1人がほかのラインに行って余分な仕事をしていたら、他のラインは生産性がダウンしてしまいます。
全体として下がらないではありませんか。
その結果査定まで弊社はまだできていないのですよね。

例えば経営目標を工場で具体化していくと、今まで10人で1ライン、物量を増やすには単純に増員して20人で2ラインだったのを、人員を減らすだけでなく6~7人で2ラインどころか3ラインを動かすことを達成しなければならないかもしれないです。
投入人員を減らすためには、もっと使いやすい機械を買うか、あるいはもっと作りやすい物を設計しなければならないとなります。
そうなると工場の製造部門だけでは限界があって、他の製造のメーカーさんだと、部品や工程の共通化などは一般的なのでしょうが、弊社は、もう一歩開発時点での踏み込みが弱いかなと思っています。
そうなると、コストダウンは購買や工場だけではなく、開発からになりますよね。

次回へ続く

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